天皇陛下がことのほか、戦没者慰霊について強いお心を寄せていらっしゃること、特にその一環としてサイパンを訪問されたことは実は、極めて異例なことであったことが、12月19日、開催された「天皇陛下御即位二十年奉祝中央式典」での、森元総理の挨拶の中で明らかにされました。
すでに新聞等でも報道されたように、天皇陛下が来年1月7日に即位20周年を迎えられることをお祝いする「天皇陛下御即位二十年奉祝中央式典」(奉祝国会議員連盟など主催)が、東京・文京区のJCBホールで開催されました。
麻生太郎首相、衆参両院議員約150人、御手洗冨士夫日本経団連会長や外国大使ら各界から約4000人が出席しました。
麻生首相は「平成の御代に日本は繁栄と平和を続けたが、一面では激動の20年間でした。大災害やテロ、国際紛争が頻発する中、常に人々の幸せと世界の平和を願われてやまない大御心を思いますとご心労はいかばかりであったか。天皇、皇后両陛下のお姿、お言葉、笑顔に国民がどんなに励まされ、勇気をいただいたか。深く感謝申し上げます」と祝辞を述べた。
また、奉祝議員連盟会長の森喜朗元首相は、天皇陛下が体調を崩されたことに触れ、「国民は一日も早いご快癒をご祈念している」と挨拶しました。 この挨拶の中で、天皇陛下の国民体育大会ご臨席やノルウェーご訪問の際のエピソードを踏まえ、国家・国民のため大変なご配慮をなされていることが紹介されました。
その挨拶のなかで、昭和天皇のお気持ちを受け継ぎ、天皇陛下がきわめて戦没者慰霊を重視されていることが紹介されました。
ご参考までに、森元総理の挨拶文を紹介いたします。
《 主催者式辞
天皇陛下には、御即位二十年をお迎えになりました。
このたびのご慶事をお祝い申し上げるべく「天皇陛下御即位二十年奉祝中央式典」のご案内を申し上げたところ、本日、政府代表、駐日外交団、衆参両国会議員、都道府県知事及び議長、ならびに経済界、学界、教育界、宗教界など各界代表のご来臨をかたじけなく致しました。また、北は北海道から南は沖縄に至る、全国各地から多数の皆様がご参列くださいましたことを心から御礼申し上げます。
今月初旬、天皇陛下にはご体調を崩され、すべての日程をお取りやめになられました。その後、ご公務には復帰されましたが、不整脈及び胃の炎症という診断が公表され、私ども国民一同、一日も早いご快癒をご祈念申し上げている次第でございます。
この御不例の原因について、担当の医師はご心労、ご心痛だと指摘していますが、私もそのような印象を持っております。それは、天皇皇后両陛下とも勿体なくも実に細やかなご配慮をされておられるからです。私はたびたび地方行幸啓に際して、あるいは外国ご訪問に随行させていただく機会に恵まれましたが、その際の両陛下がいかに国家・国民のため大変な御努力をなされているのか、間近に拝見し、そのご心労はいかばかりかと案じている次第です。
例年、国民体育大会開会式にご来臨頂きますが、この時、八十才、九十才を越えても現役で選手を続けておられる方々が表彰されます。
陛下はこれらの選手の皆さんに優しくお励ましの言葉をおかけになるのですが、昨年、兵庫県でその中の九十八才の陸上選手が感謝に打ち震えて、思わず陛下のお手を握り、おし頂かれたのです。私は思わず、その方の耳元で、陛下のお手をはずされるよう声をかけました。陛下はその時、全く意を介せず、優しいお言葉で「森さん、よいのですよ」とおっしゃり、この選手の手を包む様にしてお讃えになっておられました。
また、平成十七年五月、両陛下はノルウェーをご訪問され、私が首席随員を命ぜられました。両陛下は、ノルウェー王室のご歓待をお受けになられ、楽しい旅をお続けになっておられました。古都トロンハイムで船遊びをされ、市場のところで下船されました。その市場の入口に寿司の屋台がつくってあり、多くの魚をねたにした寿司を並べてありました。陛下は立ち止まり、しばらくその握り寿司をご覧になっておられましたが、お召し上がることなく、マーケットの中に入られました。現地の寿司職人は少しがっかりしたようでしたので、私が二、三個つまみ、その場を取りつくらせて頂きました。
陛下はマーケットを一巡され、お帰りの御車に乗られたのですが、その時、お乗りになる前に突然私に「森さん、お寿司はおいしかったですか」とお尋ねになられました。本当にびっくりしました。こんなに細かいところにまでお気を配られ、私の行動までご覧になっておられたのかと、感激するやら、冷や汗ものでした。
このようにお疲れのおいとまもなく、国内はもとより、外国との交流にもお心をくだいておられます両陛下のご健康を心からお祈りする次第です。
また、天皇陛下が戦没者追悼について強いお気持ちを寄せていらっしゃいます。
先帝陛下があれほど願われながら、ついに訪問できなかった沖縄に天皇陛下は天皇として初めてご訪問になったほか、硫黄島やサイパンにも訪問されました。サイパンご訪問については多くの課題があり、なかなか実現を見なかったわけですが、最終的には両陛下の強いご希望があって米国政府の配慮で国内のご旅行として実現されたと伺っております。
そして今後も激戦地となった島々を訪問され、ご弔問されたいというご希望があるとも伺っています。先帝陛下のお気持ちを受け継ぎ、戦没者の慰霊と追悼に努めたいとの陛下の強いお気持ちに、何とかしてお応えしたいと思っております。
天皇陛下の二十年にわたるご活動に心から感謝申し上げるべく十月十六日、各党代表の賛同を得て「天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟」を設立しました。今後はこの議員連盟の皆様と共に、御即位二十年をお祝いする記念事業を展開していく決意であります。
ここに、天皇皇后両陛下のますますの御健勝と 皇室のいやさかをお祈り申し上げまして、主催者の式辞といたします。
天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟 会長 森喜朗》
これから来年十二月まで、ご即位二十年奉祝記念事業は続きます。天皇陛下のお心をお偲びし申し上げ、すこしでも国安かれの祈りにお応えできるようにしていきたいものです。
なお、天皇皇后両陛下がこの二十年、どのようなことをなされてきたのか、丁寧にまとめた本がPHPから出ました。中西輝政先生と日本会議の共同編集による『日本人として知っておきたい皇室のこと』です。
●●●新刊紹介●●●
『日本人として知っておきたい皇室のこと』
京都大学教授 中西輝政+日本会議=編・著
PHP研究所
定価:1575円(税込)[本体1500円]
【目 次】
はじめに 三好 達(日本会議会長)
発刊に寄せて 島村 宜伸(衆議院議員)
第1章 皇室と日本人
日本人にとっての天皇 中西 輝政(京都大学教授)
福沢諭吉の『日本皇室論』 平沼 赳夫(衆議院議員)
国民の安寧を祈る皇室の伝統 下村 博文(衆議院議員)
昭和天皇と「昭和の日」 萩生田光一(衆議院議員)
象徴天皇考 大原 康男(国学院大学教授)
五箇条の御誓文と明治天皇 阪本 是丸(国学院大学教授)
日本は天皇の”祈り”に護られている 松浦 光修(皇學館大学教授)
第2章 今上天皇を仰ぐ
今上陛下の「国難打開」の祈り 田中 恆清(石清水八幡宮宮司)
会津の復権と靖国神社 中條 高徳(日本国際青年文化協会会長)
天皇皇后両陛下のご足跡 椛島 有三(日本会議事務総長)
皇室の伝統を受け継がれる天皇陛下 江崎 道朗(日本会議専任研究員)
おわりに 宇都宮鐵彦(日本会議経済人同志会会長)
by 太郎
靖国問題についての七つの提言…